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表紙 | タイトル・著者・発行 | 内容 | 備考 |
詰将棋集 詰将棋入門 3手・5手 編集部・編 1999.12(2) |
3手詰・5手詰の詰将棋問題集。 No.1〜9 3手詰 難易度★2〜★2.5 No.10〜39 5手詰 難易度★2.5〜★3.5 問題図には、ヒントなし、手数表示なし。 解答は、図面1枚、解説約200字で、失敗手・変化にも触れており、まずまず詳しい。 なお、ルール説明はなく、合い利かず(無駄合いは手数に数えない)、両王手などのやや特殊な詰め上がりや、「駒余りは不正解」(同手数なら駒が余らない方を答える)など、詰将棋特有のルールはサラッと流されている点には注意。 すでに5手詰の本を1冊以上解いている人にはちょうど良いレベル。(2016Sep24) |
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次の一手集 二枚落ち 表と裏 菊地常夫 1999.12(1) |
二枚落ちの本定跡と裏定跡を解説した本。二枚落ちで下手が誤りやすいところを中心に解説。指し手だけでなく、考え方の解説が随所に出てくるところが◎。 No.1〜18 二歩突っ切り △7五歩を手抜き、▲4六飛と攻撃態勢を整えたのが右図の【本定跡】。△4二銀▲4四歩の変化と、上手が局面の複雑化を図る△5五歩や△6六歩を検証していく。 図から ├△4二銀▲4四歩…(No.2〜14) ├△5五歩▲4四歩…(No.15〜17) └△6六歩▲同角△6五金…(No.18) No.19〜31 裏定跡(1) 下手は二歩突っ切りだが、上手の陣形が変則で、上手から△4四歩!と突いたのが右図の【裏定跡1】。▲同歩に△5五歩!で、下手有望の手をたくさん与えて、迷わせて間違わせるのが上手の狙い。 No.32〜39 裏定跡(2) 定跡通りの4筋位取りに、上手が7手目に△6四銀!と4筋を明け渡したのが右図の【裏定跡2】。黙っていれば△5五歩なので、図から▲4四歩△同歩▲同角だが、手将棋に持ち込むのが上手の狙い。 どちらの裏定跡も、下手が咎める考え方はしっかり書かれている。あとは、実戦で「下手がこうすればまだ良かった」を解説。二枚落ちは、一回ミスってもまだ挽回できるところを強調している。 (2016Sep26) |
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次の一手集 上手必死の防戦策編。 定跡次の一手 飛香落 野獣流的本定跡 気分爽快!! 気分爽快!! 気分爽快!! 泉正樹 1999.11(2) |
飛香落ち▲1七桂跳ね戦法・野獣流を解説した本。 ▲1七桂跳ね戦法は、1筋の歩を伸ばし、▲1八飛から歩交換して、▲1二歩と垂れるところは他の飛香落ち定跡と同じで、右桂の援軍で1筋突破を目指すのが特徴。 戦法自体は昔からあり、例えば『将棋大観』(木村義雄,初出1928年)などに記載がある。泉はこれを野獣流に改良。p8の▲5八金左〔右図〕が工夫で、中盤以降に上手が5筋や7筋を攻めてきたときに右側に逃げ込むようにしている。 〔チャート〕 △3四歩▲7六歩△4四歩▲1六歩 ├△4二銀▲1五歩 |├△4三銀 ||├▲1四歩(P4) ||└▲1八飛△5四歩▲1四歩△同歩▲同飛△1三歩 || ├▲1六飛(p6) || └▲1八飛△6二玉▲3八銀△7二玉(#3) || ├▲6八金〜▲6九玉(p7)〔従来の定跡〕 || └▲5八金左〔野獣流〕△6二銀▲2六歩△5三銀 || ├▲1七桂(p10) || └▲1二歩 || ├△3二金▲1七桂 || |├△2四歩▲2五歩△2三金(#37) || |├△5二金▲2五桂…(駒損せずに龍を作れる) || └△6四銀▲1七桂…(#11) |└△2四歩(#15) | ├▲1四歩(p32) | └▲2六歩△2三金▲3八銀△3二銀▲2七銀… ├△3三角▲1五歩(#23)△2二銀▲1八飛△2四歩▲1四歩△同歩▲同飛 |├△1三歩▲1八飛△2三銀▲3八銀△3二金▲4六歩 || (上手が全力で1筋を強化) ||△5二金▲4七銀△4三金右▲3六歩△5四歩▲3七桂 ||△1四歩▲5六銀△6二銀▲4八飛△5三銀▲4五歩 ||├△同歩(p54) ||└△4一玉▲3八金△3一玉▲4四歩 || ├△同角(p58) || └△同銀▲4五銀 || ├△5五歩(p59) || └△同銀… |└△2三銀▲1一飛成△同角▲同香成△3三桂▲2一成香 | ├△3二銀… | └△3二金(#35) └△3二銀▲1五歩△2四歩(#33) ├▲1四歩(p68) └▲2六歩… 前月号付録(2)の「野獣流」とは直接的な関係はないが、速攻で1筋攻めを狙うところと、上手が全力防御に来た時に2筋に狙いを変えるところはよく似ている。攻め好きの人は、ご検討を。 (2016Oct02) |
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詰将棋集 大五郎の痛快5手7手 PART6 佐藤大五郎 1999.11(1) |
5手詰と7手詰の詰将棋問題集。 No.1〜No.20 5手詰(20問) No.21〜No.39 7手詰(19問) はしがきによれば、「現代的な手順の中に古典的な要素を盛り込んでみようと心がけた」とのこと。 解いてみたところ、サクサク解ける問題の中に、ときおり「うーん」と考え込む問題が入ってくる感じだった。個人的に少し苦戦したのは、No.1、14、22、24、27、30、34、39。それ以外はスンナリ解けた。ラストのNo.39は考え込んだ末に正解にたどり着いて、気持ち良い解後感の問題だった。“古典的な要素”の部分がどれに当たるかは、正直よく分からなかった。 全体を通して、時々手が止まるのがちょうど良い感じ。5手7手を気持ちよく解いていきたい人にオススメ。 (2017Jul09) |
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次の一手集 野獣流新定跡誕生。 定跡次の一手 飛香落 突貫工事戦法! 強行突破!! 強行突破!! 強行突破!! 泉正樹 1999.10(2) |
飛香落ち「▲野獣流」を解説した本。 オーソドックスな▲右四間定跡では、[1筋の歩を伸ばす]→[▲1八飛から歩交換]→[右四間に構える]→[▲1二歩と垂らす]→[▲4五歩と仕掛ける]という流れになる。ただし、この定跡は、[歩交換]〜[垂れ歩]の部分が、香のいない弱点を突いているとはいえ、平手に応用しにくく、違和感を感じている方も多いだろうと思う。 本書の「野獣流」は、〔右図〕が基本形。上手が無策なら、いきなり▲1四歩からの仕掛けが成立する。乱暴なようだが、香のいない弱点をちゃんと突いており、平手にも応用できる指し方である。 よって、上手は▲2五桂を跳ねさせないように△2四歩と突くが、今度は2筋からの攻撃が可能になる。本書では、こちらの方にページ数を多く割いている。 〔チャート〕 △3四歩▲7六歩△4四歩▲1六歩△4二銀▲1五歩 △4三銀▲4八銀△5四歩▲3六歩△3二金▲3七桂〔基本図〕 ├△6二銀or△6二玉 | ▲1四歩△同歩▲同香△1三歩▲同香成△同角▲1八飛 | ├△2四歩(#5) | ├△5三銀(#7) | └△2二角(#37) └△2四歩(#10)▲2六歩△2三金▲4六歩 ├△3三桂 |├△同歩(#12) |└△同桂(#14)▲同桂△同歩▲1四歩△同歩▲4五歩 | △同歩▲2二角成△同金▲2五飛△2四歩▲同飛 | ├△2三歩(#16) | └△3三角(#18)▲4四歩 | ├△同銀(#19) | └△同角(#21) └△6二銀(#24)▲2五歩△同歩▲4五歩△5三銀▲4四歩 ├△同銀右▲4五歩 |├△3三銀 |└△5五銀(#29) └△同角(#32) 本戦法は、正確に攻めをつなぐ力が必要で、特別に易しいわけではないが、筋の良い攻めが得意な人には大いにオススメしたい。 (2016Sep29) |
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詰将棋集 双玉詰将棋集 PART3 3手詰〜19手詰 &【ミニ講座】双玉詰将棋の作り方 神吉宏充 1999.10(1) |
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次の一手集 定跡次の一手 明快解説! 急戦矢倉・最前線 三浦弘行 1999.09(2) |
急戦矢倉を解説した本。 矢倉は、序盤の駒組みがある程度決まっている戦型である。その理由の一つとして、少しでも手順に間違いがあれば、急戦矢倉が成立してしまうことにある。特に先手としては、後手の急戦矢倉を避けて、駒組みを進めていくために、同じような手順になるのである。 また、5手目▲7七銀か▲6六歩かは、いつの時代も悩ましい。1999年当時は5手目▲6六歩が多かった。その理由が、5手目▲7七銀は△矢倉中飛車・△居玉棒銀・△5三銀右急戦があって大変だから、というのが本書の趣旨となる。 本書の内容はざっくり以下の通り。特に△居玉棒銀に多くのページが割かれている。(2017Apr09) 初手より ▲7六歩 ├△8四歩▲6八銀△3四歩 |├▲7七銀(No.2〜No.33) ||├△矢倉中飛車 ||├△居玉棒銀(No.10〜No.29) ||├△5三銀右急戦(No.31〜No.33) |└▲6六歩 | △5三銀右急戦(No.34〜No.35) └△3四歩 △ウソ矢倉(No.36〜39) |
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詰将棋集 双玉詰将棋集 PART2 7手詰〜25手詰 神吉宏充 1999.09(1) |
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1999.08(2) | |||
1999.08(1) | |||
(全棋士出題次の一手) 一生に一度の会心の一着&穴があったら入りたい究極の大ポカ PART2 1999.07 |
全棋士が、自分の会心の一手or大ポカを次の一手形式で出題した本。本書はその後編となる。 本書は208pの大ボリュームで、付録としては破格(いつもは80p)。 解説は基本的に棋士本人が執筆している。会心の一手は普通に「さすがプロ」だが、一方でポカの何とも言えない心理を本人が解説するのは◎。文体に個性が出ており、ポカを出題した棋士は結構自虐的だったりする(笑)。ポカで多いのは、簡単な頓死や詰み逃しで、他に「王手放置」、「詰まし損ねたが相手が投了」、「駒の持ち間違え」、「持ち駒を成って打った」など。 全棋士というのは、1999年当時の日本将棋連盟に所属している棋士全員で、引退棋士や女流棋士も含む。物故棋士や奨励会員は含まない。 出題順は、[タイトルホルダー]→[永世称号者]→[九段]→[八段]→…→[四段]→[女流棋士]の順。段位が同じ場合は、棋士番号順と思われる。 全員プロなので、自慢の一手を出題する棋士が多いのかな…と思ったら、案外ポカを出題する方が多く、なんと[会心]:[ポカ]=47:52でポカの方が多かった。皆さん意外と(略) 収録棋士は以下の通り。今回名前がない棋士は、PART1に収録されている。どの棋士がどちらを出題しているかを見比べるのも一興であろう。(2016Nov04) 【会心】 [タイトルホルダー・永世称号者] 藤井猛竜王/中原誠永世十段/米長邦雄永世棋聖 [九段] 北村昌男/関根茂/大友昇/加藤一二三/大内延介/田中寅彦 [八段] 長谷部久雄/佐藤義則/中村修 [七段] 関屋喜代作/山口英夫/滝誠一郎/小野修一/脇謙二/富岡英作/中田宏樹 [六段] 河口俊彦/森安正幸/小阪昇/大島映二/武者野勝巳/瀬戸博晴/武市三郎/有森浩三/日浦市郎/神崎健二 [五段] 関浩/野田敬三/平藤眞吾/窪田義行/勝又清和 [四段] 矢倉規広/中座真/近藤正和/佐藤紳哉/野秀行 [女流棋士] 山下カズ子/斎田晴子/矢内理絵子/植村真里/木村さゆり/鹿野圭生/中倉宏美/比江島麻衣子/安食総子 [番外] 升田幸三の△3五銀/大山康晴の△8一玉 【ポカ】 [タイトルホルダー]郷田真隆棋聖 [九段] 内藤國雄/勝浦修/石田和雄 [八段] 剱持松二/佐伯昌優/田丸昇/真部一男/福崎文吾/森内俊之 [七段] 安恵照剛/土佐浩司/東和男/鈴木輝彦/泉正樹/阿部隆/屋敷伸之/ [六段] 椎橋金司/桐谷広人/有野芳人/森信雄/松浦隆一/植山悦行/大野八一雄/神吉宏充/小林宏/中田功/長沼洋/深浦康市/真田圭一/三浦弘行/久保利明/北浜健介 [五段] 藤原直哉/杉本昌隆/豊川孝弘/飯塚祐紀/行方尚史/岡崎洋/伊藤能 [四段] 松本佳介/田村康介 [女流棋士] 中井広恵/長沢千和子/碓井涼子/宇治正子/古河彩子/高橋和/早水千紗/中倉彰子/島井咲緒里 ※誤字・誤植等 p122 ×「△2八角だっので」 ○「△2八角だったので」 |
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(全棋士出題次の一手) 一生に一度の会心の一着&穴があったら入りたい究極の大ポカ PART1 1999.06 |
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詰将棋集 解いて覚える詰手筋 明解5手詰39題 北村昌男 1999.05(2) |
5手詰オンリーの詰将棋問題集。計39題。 比較的平易な手筋モノが多く、難易度も易しめ〜標準くらいだが、だいたい3〜4問ごとに「ん?あれっ?」と手が止まる問題が出てくる。 わたしの場合、多くの問題は10秒以内で解けたが、No.9、12、15、18、22、25で苦戦した。モノによっては10分くらい考えたかも。解説でも何度か触れられているが、「いかにも詰みそうな筋」が詰まない、というのが苦戦の原因らしい。 同じ号の付録に5手詰集が2つ付いてくる(もう一つは『丸田の5手詰』)というのがやや趣向的だった。どちらも難易度はあまり変わらないので、2冊連続でトライして、作風の違いを楽しんでみるのも良いかと思う。 (2017Jul22) |
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詰将棋集 “小太刀流”実戦型詰将棋 丸田の5手詰 丸田祐三 1999.05(1) |
5手詰限定の詰将棋問題集。 5手詰で個性を出すのは難しいが、それでも「小太刀の丸田」と二つ名がある通り、本書ではやや軽妙な感じの問題が多い。難易度は、5手詰のMAXが10とすると、3〜5くらいでほぼ標準〜やや易しめだ。 3手詰から5手詰へステップアップする際に、同手数の変化が複数ある場合に、正解なのかどうか迷ううことがよくあるが、本書では解説で、同手数の変化も正解の旨が多くの問題で明記されている。 また、「逃げ道をふさぐために」とか「合駒をさせないために」など、手の意味が書いてあることが多いのも○。 (2016Oct05) |
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次の一手集 定跡次の一手 速攻派に最適 相がかり5八玉戦法 塚田泰明 1999.04(2) |
いわゆる「新・塚田スペシャル」を解説した本。 初手より、▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2六飛△7二銀▲5八玉!〔右図〕が新・塚田SPの出だし。 歩交換後の飛の引き場所は▲2六飛で、すぐに▲5八玉と立つ。5七の地点を守り、▲1六歩を省略しているのが特徴。「従来の塚田スペシャルと違い、(中略)普通の相がかりの仕掛け方ができるのが、この戦法の柔軟性であり、長所」(p26) また、指し方のコツとして、「右銀の動きを保留して、▲5八玉のあと、すぐに▲7六歩を突く」(p60)とある。相掛かり▲2六飛型では、飛の横利きで後手の歩交換をできるだけ遅らせるという考え方があったが、本戦法の場合は、後手に歩交換させて、飛の引き場所を見てから作戦を決めるという、後出しジャンケン的な思想がある。 具体的には、以下のように作戦を決める。 ・歩交換後△8四飛には▲3七桂 ・歩交換後△8二飛には▲3七銀 ・角道を開け合って△8六歩なら、超急戦で先手良し なお、後手が旧型の△6二銀型の場合は(ほとんどないと思うが)、▲3七桂戦法があまり有効ではないので、別の指し方を検討しよう。(2017Apr04) |
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必至問題集 読みを鍛える 必至問題39 PART6 1手必至・3手必至 佐藤大五郎 1999.04(1) |
1手・3手必至の問題集。「初級・中級者向け」(p2)とあるが、実質的な難易度は初段以上くらい。 No.1〜No.20 1手必至 No.21〜No.39 3手必至 解説は丁寧で、完璧とまでは行かないが十分満足できるレベル。 問題図は実戦形や左右対称形もチラホラ見られるが、桂香が多い「大五郎流」のものが目を引く。No.10〔右図〕がその代表例で、これを「大五郎流だね!」とワクテカして解くも良し、「実戦には出ないよ」と飛ばすのもあり。 このように、必至慣れしてない人には奇異に感じるものもあるが、全体的には必至の基本的な手筋を理解している人ならちょうどいいレベルだと思う。わたしは丁寧に読んでほぼ1時間で解き終えることができました。(※初めて大五郎流の必至問題を解いたときは、ものすごく苦戦した記憶がありますが、単に棋力が足りなかったんでしょうね…) (2018Jun17) |
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次の一手集 イナズマ流次の一手 Part・2 森けい二 1999.03(2) |
実戦・次の一手問題集。森の実戦から、中盤・終盤の次の一手を39問出題している。 実戦なので、詰み・必至以外は必ずしも決定的な一手に限定されているとは限らない。基本的には、ヒントを読んで方針に合った手を探すようにしよう。 また、寄せの問題は「一手一手」とか、中盤の問題は「一本は打ってみたい」など、具体的な手ではなく感覚として捉えるべき問題も多い。完全に読み切れなくても、「これじゃないかな?」という手を自分なりに読んだら、解答で確認するとよいだろう。 難易度的には二段〜四段くらいといったところ。 ただ、個人的には、本書を読んで経験値が溜まった気があまりしない。はしがきには「中終盤のねじり合いに強くなるには、次の一手の問題が良いようです」とあるものの、棋譜並べの方が効果が高いように感じる。 あくまで個人の感想ですけどね。(2018Jun22) |
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1999.03(1) | |||
次の一手集 定跡次の一手 駒落最後の砦 角落定跡・振り飛車編 泉正樹 1999.02(2) |
角落ちの下手振飛車を次の一手形式で解説した本。メインは2つの戦法。 No.1〜14 下手中飛車 ・5筋の歩は角で早めに交換する。 ・左銀は5六へ。 ・美濃囲いは▲3九玉型で、様子を見ながら駒組みする。場合によっては、▲3九玉型のまま木村美濃で上部を厚くする。 ・「上手に十分な体制をつくられる前に、速攻を仕掛ける」(p12)▲4五歩から仕掛ける。 ⇒わたしが指している持久戦的な中飛車とはちょっと違いますね… No.15〜37 下手四間飛車 デパートの将棋祭りの席上対局で、▲長沢女流二段△泉七段で、下手圧勝となった作戦だそうだ。 ・居玉のまま、▲6五歩〜▲6六銀型を作る〔右上図〕。その後、玉を囲うが、美濃囲いの完成よりも攻撃形の構築を優先。▲5八飛と中央狙いにできるように、5八を空けることを意識する。 ・上手が6筋位取り拒否なら、居玉のまま▲5六銀〜▲9七角型を作り、力を溜めて6筋集中攻撃。チャンスがあれば、▲3八玉型くらいでも仕掛ける。 ⇒美濃じゃなくても戦えるような、攻撃重視の力強い振飛車党に向いている作戦っぽい。 No.38 ▲石田流本組 No.39 ▲急戦中飛車 この一冊で定跡マスター!という訳にはいかないが、すでにプロとの角落ちを頻繁に経験している人なら、多くのヒントを得ることができるかもしれない。 (2017Jul22) |
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1999.02(1) | |||
次の一手集 駒落最後の砦 定跡次の一手 −角落定跡・矢倉編− 泉正樹 1999.01(2) |
角落ち・下手▲矢倉戦法を解説した本。 角落ちでの下手の作戦は、矢倉、三間飛車、中飛車などが代表的だが、本書では矢倉を扱う。 No.1〜20 △6四金型(上手・攻撃型) No.21〜39 △6四歩型(上手・好手を兼ねたバランス型) ただし、本書の「野獣流」は、従来の矢倉作戦とは少し異なる序盤戦となる。 ・従来は矢倉の骨格(▲7七銀-6七金)を作るのが先。 ・野獣流では飛先を早めに伸ばして攻撃態勢を作る。 ・△6四金型には▲6六銀と対抗する。(〔右上図〕野獣流番人銀戦法) →上手の右金の動きを封じる半面、自玉を固めることはできない。米長流急戦矢倉に似た戦いになる。 ・△6四歩型には、「歩には歩」で位を保つ。 →上手は矢倉△6二飛戦法ににた仕掛けをしてくる(〔右下図〕)ので、しっかり受けるか、先攻するか。本書では先攻を推奨。 なお、角落ちの基本3カ条は、本戦法でも従来の定跡とほぼ同じ。 ・位負けは禁物 ・上手に歩調を合わせる ・矢倉囲いにこだわらない また、解説の中にときどきサラッと「角落の心得」が描かれている。例えば「下手の攻め駒が目いっぱいに働いているときは、駒損を恐れずに思い切った攻めに出る方が、良い結果につながる」(p72)など。 なので、角落でこの作戦を指さない人にも有効な一冊である。 ※誤字・誤植等: p4 ×「5八金石」 ○「5八金右」 |
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詰将棋集 実戦詰将棋5・7・9手 寄せのコツをつかめ! 武市三郎 1999.01(1) |
5・7・9手の詰将棋問題集。 No.1〜No.20 5手詰(20問) No.21〜No.31 7手詰(11問) No.32〜No.39 9手詰(8問) 初形は簡素なものが多く、それほど難解なものもないが、わたしが解けなかった問題が10問も(5手詰で3問、7手詰で3問、9手詰で4問)。 わたしの詰め棋力は高いわけではないが、「将棋世界」の5手・7手詰で解けないことはほとんどないくらいの詰め棋力はある。それなのに(>_<。) No.1の解答に「詰め上げた人には簡単でも、詰まない人にとっては難しいのが詰将棋」とあるが、まさにその通りだった。 解けなかった問題は、いずれもわたしにとっては経験の少ないタイプの詰め筋や詰め上がりで、盲点に入った感じだった。たぶん1か月後にリトライしてもまた渋滞してしまいそうだ。個人的な難易度はLv.5〜8。 なお、本書では変化同手数の詰め上がりが結構多い。最終4手の変化は許容範囲なのでルール的にはどちらでも正解だが、一方の変化は易しく、他方は見えづらい妙手が必要な場合もあるので、きっちりすべての変化を詰まそう。 ちなみにタイトルに「実戦詰将棋」とあるが、実戦形っぽさは特に感じませんでした。(2017Feb20) |
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