九級から初段まで 実戦式 詰め将棋 10の手筋で初段になる |
[総合評価] C 難易度:★☆ 〜★★★☆ 見開き1問 内容:(質)B(量)A レイアウト:A 解答の裏透け:C 解説:C 初級〜上級向き |
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【監 修】 中原誠 | ||||
【出版社】 池田書店 | ||||
発行:2005年3月 | ISBN:4-262-10130-4 | |||
定価:998円(5%税込) | 350ページ/18cm |
【本の内容】 |
・詰将棋=151+10+10問 詰め将棋を解くカギとなる10の手筋=例題10問 九級詰め将棋問題=16問(1〜3手詰) 八級詰め将棋問題=16問(3〜7手詰) 七級詰め将棋問題=16問(3〜7手詰) 六級詰め将棋問題=16問(3〜7手詰) 五級詰め将棋問題=16問(3〜7手詰) 四級詰め将棋問題=16問(5〜9手詰) 三級詰め将棋問題=16問(7〜9手詰) 二級詰め将棋問題=16問(7手詰) 一級詰め将棋問題=16問(7〜9手詰) 初段詰め将棋問題=7問(9〜11手詰) ・古典詰め将棋 (1)〜(10) ◆内容紹介 詰め将棋を解くカギとなる10の手筋を紹介。九級から初段まで151問を精選した、終盤にも強くなる実戦式の詰め将棋問題集。 |
【レビュー】 |
詰将棋問題集。 まえがき「はじめに」には、次のように書いてある。 「詰め将棋はどうやって解いていったらよいかよくわからない」そういった読者の声をよく耳にします。持ち駒、もしくは盤上の駒を使って敵方の玉を追い込んでいくのが基本的な考え方ですが、その方法、つまり「手筋」を知らない方が多いようです。 本書はまず実戦に役立つことを主眼とした151の問題を選び、その手筋の傾向を探りました。この結果、最もよく使われる「10の手筋」を選び出しました。つまりこの「10の手筋」が詰めを考える手がかりとなるのです。(後略) この考え方に沿って、冒頭で「10の手筋」を例題を使って解説する。選ばれた「10の手筋」は次の通り。 (1)捨て駒で守り駒の移動を図れ (2)焦点の捨て駒を考える (3)大駒を捨てる機会を誤るな (4)玉の退路の封鎖を考えよ (5)金気(金銀)はトドメに残せ (6)龍か馬の威力でトドメを刺す (7)空き王手・両王手に妙手あり (8)桂と角を協力させる (9)大駒は離して打て (10)不成にうまい手あり 手筋というよりは考え方であり、中には「時と場合によりけりじゃないの?」というものもあるが、これら10の手筋は解説ページに番号が書かれており、どの考え方によって解ける問題だったかが分かるようになっている。 問題は16問一組で構成され、一組の中ではちょっとずつ難しくなっていく。またクラスが替わるとまた易しくなるようになっている。つまり、難度の上昇が単調増加ではなくジグザグ型であり、途中で投げ出しにくくなっている。 以上は良いところ。特に「手筋を分類して詰将棋を解けるようにする」というコンセプトは面白いと思う。一方で、悪いところ、というか、コンセプトを実現するには中途半端なところもいくつかある。 (1)他にも重要な手筋(考え方)がある。 「危険地帯に玉を呼び寄せる」「詰み形の理想形を描く」「捨て駒をしてでも拠点を作る」…など。とはいえ、これは著者が10に絞ったのだから仕方ないのかもしれない。 (2)分類した10の手筋の生かし方が中途半端。 10の手筋は解答欄に番号が書いてあるだけなので、いちいち何の手筋か確認するのが面倒くさいし(一応、表紙見返しに一覧になっているが)、解説ではノータッチなので頭に残らない。番号はヒントのほうにほしかったし、数字だけでなくアイコン(イラスト)を使ってひと目で分かるようにするとか、面倒なようでも毎回全文を書くとか、工夫がほしかった。 (3)ヒント出しすぎ。 これは人によって良し悪しが分かれるかもしれないが、例えば「最後は▲2四龍で詰め上がり」(p319)「初手は▲1三角から〜」(p337)など、手を完全に限定してしまうのはどうかと。 (4)解説がショボすぎる。 これは個人的には致命的。特に後半は手数が長くなるのに、解説は逆にショボくなっている。「○○は不詰めです。○○が好手。○○に○○として解決です。」というのはもはや解説とはいえないのでは。詰将棋慣れしている人ならそれでもいいが、本書は「どうやって解いていったらいいか分からない」という人をターゲットにしているはず。そのレベルでは「どうしてそういう手順の組立てなのか分からない」のでは?変化を書くのはもちろんだが、手の効果(捨て駒をすることで飛の利きが通った、etc.)をもっと書くべきだと思う。 5〜9手詰くらいが普通に解ける人には、普通の詰将棋問題集として使えると思う。本書のターゲットである「初段を目指す人」にはあまりオススメできません。コンセプトは良かったのに、それを具現化できなかった惜しい一冊。 ※本書は初版は大量の誤植があって、正誤表が挟まれていたと伝え聞いているが、わたしが持っている版(2008年8月25日発行、何版かは不明)では特に誤植は見当たらなかった。 ※解説が変だったところ: p40「なお、▲4二銀で▲2四銀は△同銀▲同歩△3一金と龍を取られていけません。」→▲同歩は王手ではない。 p44「これに対して、△同玉と取れば▲3二金で早く詰みます。」→手数は同じ。 |
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